Futon Side Stories 4
〜黄金館〜
エルフのシンとコビット4人組、そして馬の司の国の騎士ミノルが
王の居城である黄金館についたのは、その日の夕暮れ時でした。
彼方から望む黄金館は、その名の通りきらきらと輝いて見えます。
金の装飾を施された壁や屋根が残照に照らされて輝き、
たくさんの窓から漏れる灯りと、門前に連なる松明の群れが
何物にも代え難い美しい風景を形作っておりました。
「陛下、ミノルただいま戻りやした。それからお客人です。」
「おう、ご苦労だったな。ん?シンの字じゃねぇか。
お前も懲りずにご苦労なこったな。おや?連れがいるとは珍しいこった。」
「キョウさん。こいつら俺のダチ・・・コビット族だ。」
「おう、ゆっくりしてくんな。クミコは今、出かけてるけどな。
おう、誰かいねぇか!お客人を案内して差し上げろ!
それから今夜は宴会だ!支度を怠るなよ!」
「「「「へいっ!」」」」
やがてクミコが戻ってきました。
「だーっ。お前また来たのかよ。いい加減しつこい奴だなぁ。」
「クミコ。ほら、土産・・・俺の館の庭に金燐草が咲いてたから。
お前の髪に挿してやりたくて・・・」
シンは、陽の光のような不思議な輝きを持つ花を差し出すとクミコの髪に挿しました。
「綺麗だ・・・お前の美しさの前には星も月も色あせて見えるよ・・・////」
「だーっ//// ゲロアマなことばっか言ってんじゃねー////
大体、あたしにゃ似合わねーだろ、どう考えても。」
「そんなことねーよ。どんな樹々の芽吹きだって小川の煌めきだって
お前の魅力には叶わねぇ。愛してるんだ。な、俺のものになって・・・?」
蕩けるような瞳でクミコを見つめていたシンがそっと頬に手をやると、
クミコはシンを張り倒したのでした。
キョウォン王はじめ、てつやミノルたち、城の人々は
シンがいつ張り倒されるか賭けをしたりしながら、
そんなふたりの様子を面白そうに見守っているのでした。
シルマールから来たシンの友人たちは、驚き呆れるばかりでした。
初めて見る『楯の乙女』の男前っぷりにまず驚き
初めて見るシンの甘い顔に驚き、そして相手に最もふさわしくなさそうな
口説き文句ばかりを並べているシンに驚き呆れているのでした。
「「「「シン・・・お前って・・・(汗)」」」」
キョウォン王に話があるからとシンが別室に行ってしまったあと
クミコがコビットの4人に気が付きました。
「ん?お前たちは、あいつのダチかい?珍しい風体だな。
・・・ふぅん、コビット族って言うのか。
で、なんだってエルフなんかとつるんでるんだ?」
4人がシンとの馴れ初めを話すと、クミコは少々感心したようでした。
「へぇ、あいつ、なかなかいいとこあるじゃんか。」
好奇心旺盛なクミコは4人と様々な話をし、すっかり打ち解けた頃には
4人がまだ未成年であること、勉強が余り好きではないこと
村でははみ出しものであることなどを聞き出していました。
クミコは4人の境遇にいたく同情し、こいつらをしっかり導いてやろう、と
いらぬ決心をしたのでした。
「よーし、お前ら!明日になったらあたしがたっぷりしごいてやるからな!
青春の悩みはさわやかな汗でぶっ飛ばすもんだ!!」
「「「「いや、いらねーし!」」」」
「それにしても、お姫さんはなんだってシンを振ってばかりなんだ?」
ストレートに聞いたのはノダッチです。
「お、それ俺も聞きたい。」
「「俺も俺も」」
「べ、別に。大体、おかしいだろ?エルフが人間に惚れるなんて・・・
そ、それにあたしは、別に綺麗でも女らしいわけでもないし。」
「ま、そりゃそうだわな。」
「その点には合意だな。」
「うんうん。シンちゃんもマニアックな趣味してるよな。」
「「「いってー、殴ることないだろ!」」」
口は災いの元です。
頭をさすっているコビットたちの前で、クミコは続けます。
「あいつにゃあいつに相応しい、エルフの可愛らしいお嬢さんがいるだろ。
あいつから見たら、あたしらなんて一瞬で年取って死んじゃうんだぜ。
なんかの気の迷いだろ、そんなの。付き合ってらんねーよ。」
「そうか。そうだよなぁ。」
「うん。住む世界は違うわな。あいつがあんまり普通に付き合ってくれるから
つい忘れちゃうけど、あいつってエルフなんだよな・・・」
「そういや、あいつから見たら俺らってどんな風に見えるんだろ?」
「そりゃわからないけど、あいつは2669歳だって言ってた・・・」
「「「「ひぇーーー」」」」
4人の問いにクミコが答えると、一斉に驚きの声を上げました。
「なんだ、知らなかったのか。」
「それが理由なのか?」
ミナミが聞きました。
「いや、まあそれもあるけど。それに・・・」
「それに?」
「いや、何でもない・・・」
言いよどんだクミコはなにやら思案顔で、
†††
「まだ寝ないのか?」
「うん。ちょっと待て。いま筆が乗ってるんだ!」
「そのしょうもない話、まだ続き書いてるのか。」
「しょうもないとはなんだ!子供たちには受けてるんだぞっ。」
「俺が見る限り、微妙だね。」
「なにおう。」
「それよりさ、子供たちも寝たことだし。久しぶりに、な?」
「へ?なにを・・・って、こら、この手はなんだっ。」
「ん(ちゅ)。」
「あ・・んん。ってんなとこ触んな////」
「痛ぇっ。なぁ、いいじゃん。」
「こーらっ。めくるなっ!」
「イテテ。いいじゃん。な?」
「 あん・・・ こらっ////」
「イテーってば。な?」
「こらっ。」
「イテッ。」
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って何を書いているんでしょう、私は。
しばらくお休みしたせいで、何かいけないものが溜まっているようです(笑)。
桃色ばかりですみません。
こう言う奴なんです・・・
このお話、なんだか止まらなくなってしまってまだまだ続きます。
皆様の温かい拍手が支えです。
どうかよろしくお願いします。
2009.6.6
双極子