Futon Side Stories 1


〜サワ谷のエルフ〜




サワ谷を統べるエルフの王、ゴウォン・サワダールには一人の美しい息子がおりました。



赤い髪と美しい肢体の輝かしいエルフの青年は、


しかし、父王の怒りをかってサワ谷にすむことを許されず、


しかたなくエルフの国を出て、人の里シルマールでひとり暮らしておりました。



なぜなら、その彼、シン・ウンドゥ=ミエル・サワダールは、


長生の運命を持つものであるにもかかわらず、


死すべき運命の人の子に恋をしてしまったのです。



長生のものと人の子の恋は第一級の禁忌です。


シンは運命の乙女を手に入れて死すべき運命の身となるか、


乙女に捨てられて大地の露と消えるか、


そのふたつの道を選ばなくてはならないのです。



しかし、乙女はそんな背景は微塵も知らず、


シンは命がけの片思いをしているのでありました。





その乙女とは、馬の司の国カミヤマールの王女、クミコ姫でした。



姫は武勇にすぐれ、「カミヤマールの楯の乙女」と呼ばれて


人々から慕われているのでした。



姫の武勇伝で一番有名なのは、万年山のドラゴンを一撃で倒したことでありましょう。


性の悪いドラゴンでカミヤマールの人々は度々襲われて酷い目にあっていたのです。



姫は、襲われていた青年を助けようとしてドラゴンに飛びかかり、


青年を食べようと下ろしたドラゴンの首を、剣の一振りで落としてしまったのです。



その時、ドラゴンの焔を左腕の楯で防いだのですが、その傷が今でも残っています。


醜く引き攣れたその傷跡を、しかしカミヤマールの人々は故国を守った楯の腕と讃えて、


誰もが誇りに思っているのでした。



この助けられた青年こそ、エルフの王子シンでした。



「おいっ、そこの色男のにーさん!大丈夫か?」


「ああ、すまない・・・つっ!」


「あー、結構な深手だな。よし、うちに来いよ。おい、てつ!ミノル!運んでやれ。」


「「へいっ。」」


幼い頃から仕えているふたりの小姓にそう命じると、姫は黄金館へと戻って行きました。




やがて月日が経ち、姫の献身的?な看病で回復したシンは、


すぐにクミコに告白しました。


「あんたに惚れたんだ。俺のもんになってくれねぇ?」


「なななな、何言ってんだよっ。あたしは25歳だぞ?お前、年下じゃねーかっ。」


「・・・俺、2669歳だし。」


「はぁ?なんだそれっ。」


「俺、人間じゃねーし・・・」


「へぇ!お前、エルフってやつかぁ。始めて見たな・・・////


それなら、なおさら駄目だ。さ、帰った帰った。」


「なんでだよ。」


「ああん?エルフと人間が付き合えるわけないだるぉ。」


「・・・・」



こんなやり取りがあったのですが、シンは諦めず、とうとう実家のサワ谷を追い出されて


カミヤマールの東の地、シルマールにひとり居を構えたのです。


それからは、毎日のようにカミヤマールの黄金館にやって来ては


あの手この手で姫を口説き、鳩尾パンチを喰らって倒れたりしているのでした。


そんなある日、・・・



†††



「「・・・・・」」


「ん?どうした?変な顔して。」


「・・・なにそのへんなはなし・・・」


「つまんないっ、つまんないっ」


「ええっ!」


「おひめさま、らんぼうすぎ!もっとろまんちっくなのがいいーっ。」


「へんなはなしー。おうじがちっともかっこよくないっ。」


「えええっ!」



「・・・久美子、バカな話してないでさっさと寝かせろ。


お前たちもさっさと寝なきゃ、明日お出かけできないぞー。」


「「はぁい・・・おかあさん、おとうさん、おやすみなさーい。」」


「「おやすみ・・・」」



「ちっ。受けなかったか。」


「当たり前だ。なんであんな話になるんだよっ。」


「だってさ、王子様とお姫様とドラゴンの出てくる話がいいって言うからさ。」


「はぁ・・お前にロマンを求める方が間違ってるんだな。」


「なにを!」


「わぁ、よせって。イテテテ」



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落ちもなく終わります(笑)

下らなくてすみません。


結婚後、幼い子供たちに創作童話を聞かせてあげる久美子さん。

ファンタジーの金字塔を元に一生懸命書いていますが

あまりの出来の悪さに皆に突っ込まれてふてくされています。

1と銘打ってますが続くかどうかは皆様の温かいお心次第です(笑)

これからもよろしくお願いします。

お付き合いいただき、ありがとうございました。



2009.4.16

双極子