※原作・卒業後、おつきあい中。しょーもないバカ小話です。
無限大に君が好き
「アレフゼロ?」
「そう!aleph(0)だ。無限大ってのは大きさがあるんだよ。
って無限に大きいって訳だから大きさとは言わないで濃度って言うんだけどさ。
自然数とか整数みたいに数えられる数の濃度を可算濃度と言うんだ。
それがaleph(0)だ。だからお前の言ってるのは、aleph(0)なんだよ。
濃度が一番小さいんだ。」
「濃度?」
「そう、濃度だ!数学でも使うんだぞ。
可算濃度に対して、連続対濃度って言うのがあって
こっちは実数全体の濃度なんだ。自然数の濃度より実数の濃度の方が
高いんだ。aleph(0)は最小濃度の無限大なんだよ。
あたしが言っているのはaleph(1)で、aleph(0)より濃度が高い。
わかったか?」
滔々とそんなことを並べている恋人に聞く。
「で?それ、今言わなきゃいけない話な訳?(怒)」
ここは俺の部屋、待ちに待った週末の夜。
先日導入したインテリアライトが幻想的な光を放ち、低い音でムード音楽が流れている。
あの手この手でかき口説きながら、ようやっとベッドに押し倒した恋人の上で
俺は臨戦態勢な訳で・・・
俺の腕に首に頭をもたせかけ、うっとりと俺の胸を撫でている
可愛い恋人は俺の腹の下でにこにこしながら言う。
「ん?あたしがお前をどれだけ愛してるか、って事をわかりやすく解説してるんだ!
そもそもな・・・」
恋人を誘う甘い甘いトークの中で、不用意に「好きな気持ちは無限大」なんて
言ってしまったばっかりに始まってしまった数学談義。
まだまだ続くらしい長口舌を聞きながら、はだけた久美子の胸の上に手を置いたまま動くに動けない俺は『口は災いの元』と言う言葉の意味を噛み締めながら心の中でため息をついた・・・
※久美子さんは理系なのです。
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「理系の女を口説くには」と言う有名なジョークです。alephについての久美子さんの演説はちょっと不正確です。理解してないなら書くなよ、と言う突っ込みはなしってことで。
2009.1.31 ツキキワに投稿
2010.6.23 サイトにアップ
双極子拝